相互扶助

保険のはじまり

身体にトラブルが起きた場合に備える「生命保険」や、自動車で事故を起こした場合に備える「自動車保険」など、不測のトラブルにおいて備えておきたいのが保険です。
交易が発展したヨーロッパでは「冒険賃借」が誕生しました。
これは船や積み荷の持ち主がトラブルに備えるため、資金の借り入れを行うもので、トラブルなく交易できたなら借り入れた資金に利息をつけて返済する制度です。
一方、もしもトラブルで船や積み荷を失った場合、返済は免除される条件が付いていたため、海上保険の原点とされています。

そして、海だけではなく、地上にも保険が登場します。
1666年に発生したイギリスのロンドン大火災を契機に火災保険が誕生しました。
過去の火災発生率や現在の建物の数から保険料を設定した近代的な損害保険の原型となります。

同じくイギリスでは、教会の牧師が組合を作り、自分たちに万が一があった場合、遺族へ生活年金を出すために保険料を出し合う制度もはじまりました。
しかし、この制度は年齢関係なく同額の保険料を払っていたため、年齢の高い人ほど年金をもらえる可能性が高く不公平ということでほどなく解散します。
その後、公平な保険料分担の制度が確立され、1762年に生命保険会社が設立されました。

日本の保険の歴史

日本に保険制度を持ち込んだのは1万円札に肖像が描かれた福沢諭吉です。
自身の著書でも紹介しています。
1881年に福沢諭吉の門下生である阿部泰蔵が日本初となる保険会社を創設しました。
これが現在でも続く明治生命で、その後、帝国生命(現在の朝日生命)、日本生命が登場します。
当初は一般人が加入できるものではなかったのですが、1892年に日本初となる生命保険が誕生しました。
多くの保険会社が登場したことで法整備が必要となり、1900年にはドイツの保険監査法に習って保険業法が制定されます。